今回は前回の「手続き編」に続きまして、クレー射撃に使用する散弾銃について、種類別に基本的な特徴をご紹介します。

 

1 王道の上下二連銃

銃身が縦に2本

上下二連銃とは、銃身が縦に2本ならび、機関部で銃を折って薬室(銃身後方部分で、装弾が収まるところ)に弾を直接装填する機構の散弾銃のことです。

 

 

2本の銃身に1発ずつ装填できるので、装填数は2発となります。

 

固定チョークと交換チョーク

上下二連銃には、固定チョーク式のトラップ銃とスキート銃、交換チョーク式のスポーティングやフィールド銃があります。

チョークというのは、銃口部分の「絞り」(内径の差)のことで、銃身の厚みに変化を付け銃口部の内径を縮めたり広げたりすることで、銃口から出た散弾の広がるパターン(散弾の広がり具合)に変化を与えることが出来ます。

クレー射撃の種目や、撃破する距離などによって適正なパターンを得るために、チョークを選ぶのですが、トラップ銃やスキート銃ではもともと2本の銃身のチョークが競技に合うように固定式になっています。

特にトラップ銃は、初矢(1発目)と追い矢(2発目)で撃破する距離が異なる(クレーは遠ざかっている)ので、2本の銃身のチョークは異なっています。

 

一方で、銃口部分のチョークを交換できる「交換チョーク式」の銃身もあり、そういった銃身の上下二連銃(※↑の写真の上下二連銃)は、スポーティング銃、フィールド銃などと呼ばれ、種目などによって適当なチョークをその都度選ぶことができます。

 

銃身長の違い

トラップ銃の銃身長は30インチ、スキート銃やスポーティング(またはフィールド)銃は28インチ、という違いもあります。

トラップ銃やスキート銃は、その種目に合わせた銃身長やチョーク、バランスになっていて、細かな調整機能があらかじめ備わっているものが多く、クレー射撃をする上でメインの種目が決まっているのであれば、これらの銃を選ぶのが良いでしょう。

一方で、どっちも楽しみたい、ときどき狩猟にも使いたいという場合は、スポーティング、フィールド銃がおすすめです。

 

2 汎用性の高い自動銃

銃身1本+弾倉1本+半自動

自動銃は、1本の銃身の下(先台に覆われている部分)に1本のチューブ型弾倉があり、1発発射することで火薬が燃焼するときのガス圧を利用してカラになったショットシェル(散弾の入れ物部分)を排莢し次弾を装填する機構が機関部にある散弾銃のことです。

 

 

排莢と次弾装填を「自動」で行うので自動銃と呼ばれます。

引き金を引きっぱなしで弾を撃ち続けるフルオート射撃はできませんので、その意味で正確には「半自動」ということにはなります。

 

高い汎用性が魅力

自動銃の利点は、メーカーや製造時期、仕様によりますが、さまざまな交換銃身(替え銃身)や、交換チョーク式のリブ付き銃身が用意されていることです。

銃身やチョークを交換することで、クレー射撃や大物猟、鳥猟までまんべんなく楽しむことが出来ます。

また、薬室に1発、弾倉に2発、合計3発の弾を装填できるのでトリプルトラップを楽しんだり、上下二連銃に比べて弾が1発多い分、狩猟でも有利になると言えます。

種類も多く、中古銃もかなり出回っていますので、ビギナーの初めの1丁にも良いと思います。

ただし、トラップの公式戦では、隣の射手の集中力を削ぐという理由から横方向に排莢する銃(自動銃やスライドアクション銃)は禁止されていたりするので、クレー射撃をやり込みたい方は注意が必要です。

 

3 水平二連銃やスライドアクション銃は?

水平二連銃は狩猟銃

水平二連銃とは、2本の銃身が水平(横方向)に並び、上下二連銃と同様に機関部で銃を折って薬室に直接、弾を装填する銃のことです。

 

 

水平二連銃は基本的に狩猟用の銃なので、その多くは固定チョーク式になります。

狩猟用に軽く、コンパクトなものが多いのですが、その分反動は大きく感じられます。

また、先台(銃身下部の握りの部分)が細く薄くできているので、何発も撃ち続けると銃身が熱くなって火傷しそうになることもあります。

こういった理由から、水平二連銃は上下二連銃や自動銃に比べるとクレー射撃には不向きであると言えます。

 

信頼感重視のスライドアクション銃

スライドアクション銃とは、自動銃と同様に、縦に銃身1本と弾倉1本が並んでいて、先台部分を握って前後にスライドさせることで、排莢と次弾の装填を手動で行う銃のことです。

 

 

海外映画とかで、アメリカンポリスがパトカーから降りて来て「ガシャコン!」と操作して犯人に銃を向けて「Hold up!」(=手を上げろ!)と叫ぶシーンに出て来るアレです。

スライドアクション銃も日本では猟銃として所持許可が出ますし、自動銃と同様に替え銃身や、交換チョーク式銃身などがいろいろあります。

スライドでガシャコンとする動作が必要になり、どうしても次弾の発射が遅れがちになるので、クレー射撃をメインに楽しむことには不向き(あえてスライドアクション銃で楽しんでいる方々もおられます)と言えます。

一方で、手動で排莢と次弾装填を確実に行えるという高い信頼性があり、機構がシンプルで故障が少ないことから、各国の警察や軍隊で採用されており、日本では大物猟ハンターが愛用していたり、犬を使った猟の勢子銃などに使われることが多い銃でもあります。

 

4 最初の銃選びで気をつけたいこと

「万能銃」は無い

初めの1丁を選ぶのは難しい問題ですが、先ほども書いたとおり、銃は道具ですので、それぞれに目的に沿った機能があります。

水平二連銃やスライドアクション銃がクレー射撃に不向きであるとは書きましたが、出来ないことはありませんし、それは上下二連銃や自動銃に比べて性能が劣っているということではないのです。

なんにでも万能な銃というものは無い、という理解から銃選びをスタートさせることが大切です。

チョークを交換できたり、替え銃身があることで汎用性を高めることはできますが、それにも限界はあります。

 

所持する目的を明確に

予算の問題はひとまず置いといて、もし最初の1丁を自分が選ぶとするならば、まずは自分が銃を所持する目的を、できるだけ具体的にすることが大切です。

クレー射撃だけをしたいのか、狩猟をしたいのか、どっちもしたいけどその割合はどれぐらいかなど、出来るだけ具体的に「銃を所持してからやりたいこと」を考えていけば、おのずと選ぶべき銃は絞られてくると思います。

この連載ブログのタイトルどおり、まずはクレー射撃を始めようと思っている方は上下二連銃から選ぶのが良いでしょうし、狩猟から始めて非猟期中だけクレー射撃をしたいのであれば、スポーティング上下二連銃や自動銃を選ぶのが良い、となります。

 

簡単に入替えはできない

手にした猟銃は、通常、簡単に入れ替えることはできません。

手続きが煩雑であることもありますが、許可を出す警察側としては「必要のない者には所持許可を出さない」というスタンスだからです。

一度手にした銃で、ある程度の使用実績を積まなければ、銃の入替えや2丁目の所持許可申請には応じてくれないことが多いと思います。

値段のことだけを見ると、引退する方からタダ同然で譲ってもらったり、安い中古銃から選んだりすることでお財布には優しいように思えますが、一方で、実際使ってみると自分の使用目的に合っていなかったり、故障や不具合が頻発して修理費がかさんだり、古い銃で修理もできないなんてことも少なくありません。

せっかく苦労して許可を受けるのですから、自分で納得のいく1丁を選んでいただきたいと思います。

 

当店AEGハンターズショップでは、これから猟銃を所持しようと検討している方、これからクレー射撃を始めてみようと考えている方からのご相談を随時承っております。

お電話、お問合せフォームなどからお気軽にご連絡ください。

 

次回の話はこちら

→Vol.4 射撃場へ行ったり、行った気になってみよう!

前回の話はこちら

→Vol.2 クレー射撃を始めるには? 手続き編

 

カテゴリー

ブランド

コンテンツ

  • tokyo_juho_catalog