『ライフルスコープを使いこなす』

~ライフルやスラッグ銃の性能を最大限発揮するために~

企画:AEGハンターズショップ

写真・文:小堀ダイスケ

 

第1回 スコープとは何か ~光学照準器を知る~

 

スコープを使う利点は、大きく分けてふたつあります。ひとつはいうまでもなく、獲物の姿を拡大して捉えられるということです。遠くの獲物に対し正確な1発を撃ち込みたい。ハンターなら誰でもそう思うことでしょう。そんなときスコープがあれば、肉眼ではよく見えないような遠距離でも、命中のチャンスが増えるのです。

また、照門と照星、そして獲物の3点を合わせて狙うオープンサイト(アイアンサイト)では、そのすべてにピントが合うことはありません。通常は照星に目のピントを合わせ、照門と肝心の獲物はボヤけた状態で撃つのが一般的で、さらに視界の下半分は銃で覆い隠されてしまいます。しかしスコープでは、照準位置(レティクル)と獲物の両方にピントが合い、銃に隠れる部分もありません。オープンサイトに慣れたベテランハンターであっても、スコープを使いこなすことで、より遠くの獲物にも有効弾を送り込めるのです。

 

標的を狙うための十文字を「レティクル」とよぶ。

これは中心部の線が細い「デュプレックス」で、もっともシンプルで狙いやすいタイプ。

 

弾道の狙い越しをやりやすくするため中心に点が配置された「ミルドット」。

きちんと使いこなせれば遠距離狙撃などで威力を発揮する。

 

直感的な狙い方が可能な「ジャーマンポスト」。

精密な射撃には向かないが、獲物を瞬間的にとらえる場合は使いやすい。

 

中心部が光る「イルミネーションレティクル」。

薄暗い猟場で活躍するが、発光ギミックの分、重くなるのがネックとなる。

 

ちなみにライフルスコープという名前ではありますが、もちろんスラッグ銃や空気銃に使うこともできます。それぞれの銃種に向いたスコープがありますが、その選び方についてはまた追って解説いたします。

 

1800年代中期、最初のスコープは真鍮製だった。

その後1960年代頃までは鉄製の物が多く、現在はほとんどがアルミやジュラルミン製。

手前は1970年頃のウィーバー社製鉄スコープ、奥はボルテックス社の最新式アルミ製スコープ。

当然だが鉄製はすぐにサビるので実用的とはいえない。

 

スコープの値段はピンからキリまであり、高級品は数10万円するのが当たり前です。それじゃ銃より高いじゃないか、という声が聞こえてきそうですが、実は当然のことで、スコープの性能は値段と完全に比例するのです。では廉価品は使い物にならないのかといえばもちろんそんなことはなく、低価格帯のスコープにもある程度のクオリティを持った製品はあります。

 

問題はそれをどう見分けるかですが、まずはブランドと製造国に注目しましょう。ひと昔前まで中国製といえばひどいジャンクばかりでしたが、現在は中堅ブランドの製品なら、中国製でもちゃんと使える物が多くなってきました。しかし、カールツァイスやリューポルドなど、一流メーカーはいまだに中国での製造をおこなっておりません。

 

一流メーカーのOEMの場合、アジアなら比較的多いのが日本です。やはり安心の日本製、といったところですが、国産品であっても、すでに倒産したメーカーの製品には要注意。当然ながら修理が受けられないだけでなく、ひと昔前の日本製スコープには粗悪品が多かったのも事実です。銃砲店で銃を買う際にオマケで付けてくれた、などという場合にそういった物が多く、結局すぐに壊れて猟期をムダにするようなことのないよう、自分の目と意思でしっかりとスコープを選びたいものです。

 

スコープの性能を決める要素はたくさんありますが、なかでも最初に考えるべきは倍率です。当然、倍率が大きくなれば獲物も大きく見えますが、そのぶん視野もせまくなり、獲物の姿を素早く視界に捉えることが難しくなります。また、倍率には固定と可変があり、可変の方が近くから遠くまで幅広い距離をカバーできますが、倍率によって的確な頬付けの位置が変わってしまうことを忘れてはいけません。

 

たとえば、3倍のときは接眼レンズまでの距離が遠く、9倍にすると近くなる、ということが起きるわけです。頬付けの位置が定まらなければ視界に影(ケラレ)が出て、レティクルの場所と弾道がズレてしまい、失中の原因にもなります。ちなみにこの現象を「視差」といいますが、それについてはまたの機会に解説します。

 

他にも対物レンズの直径やチューブ(鏡胴)径、着弾調整の目盛り単位、レティクルの種類、さらには銃に搭載するためのマウントなど、スコープには様々な要素があり、このコラムでは数回に分けて解説していく予定です。

 

倍率などの他にも注目したいのが光の透過率を高めるためのレンズコーティング。

赤いコーティングは廉価品に多いので要注意だ。

蛍光灯に当てて見るとわかりやすい。

 

今回はスコープの基本的な概念についてざっと説明しましたが、最後にひとつ、粗悪品を簡単に見分ける方法をあなただけにそっとお教えいたしましょう。それは、スコープを反対側(対物レンズ側)から覗いてみるのです。

 

可変なら倍率を大きくして、なるべく明るい方向に向けてください。すると、スコープの内部がよく見えるはずです。チューブの内側は光の反射を防ぐためツヤ消しになっていますが、まともな製品であれば均一な加工がされているはずです。

 

カールツァイス製スコープの内部。

チューブに均一なサンドブラスト加工がほどこされている。

ドイツ製の光学製品はトップクラス。

 

日本の某高級メーカー製。

こちらはサンドブラストではなくヘアライン加工。

高い工作精度で丁寧に作ってあるのがよくわかる。

 

これがもし粗い処理、たとえばヤスリでガリガリと傷つけてあるだけだったり、また細部に接着剤のようなものがハミ出ているのが見えたり、といった物はまず高級品とはいえません。そういった製品はどんなに外観がキレイでカッコ良くても、肝心なレンズの性能や耐久性などは推して知るべしでしょう。

 

粗悪な中国製と30年以上昔の安価な日本製。

一目瞭然とはこのことで、製品作りに対する技術と意識の低さが見てとれる。

対物レンズ側から覗くことで、スコープの良し悪しはある程度見極められるのだ。

 

ライフルスコープのお話は、とかくマニアックになりがちです。しかし、この企画では実猟に必要なポイントにしぼって、なるべく分かりやすく具体的な解説をいたします。今後の展開にご期待ください!

 

 

カテゴリー

コンテンツ