前回に引き続き、ビクセンのライフルスコープ第2回目ブログです。
今回はVixen 4-16×44 BDC8、人気の1インチスコープになります。
1 チューブ径1インチという分類
スコープの分類軸
ライフルスコープ(以下RS)には、前回ブログで触れた目的別の用途とは別のカテゴリー分類軸があります。
それはチューブ径(RS本体の筒の直径)による分類です。
価格帯という切り口でRS製品群市場を見てみると、30mmチューブ径のスコープに比べ、1インチ径(25.4mm径)スコープ製品群は、低価格帯に市場ポジショニングされています。
チューブ径のいろいろ
RSのチューブ径は1インチ(25.4mm)、30mm、34mm、この3分類が一般的です。
もちろん、この分類を外れるチューブ径(36mm、40mmなど)を有するRSメーカーは存在しますが、その場合にはマウントリングも併せて用意する(或いはサードパーティーによって用意される)必要があることから、大手の光学機器メーカーか、OEM先の要望による特別な仕様といったケースもありそうです。
色々あるチューブ径のうち、今回取り上げるのは1インチ径のVixen 4-16×44、レチクルはBDC8です。
2 欲張りなニーズに応えられる1本
選ばれる理由
こちらの1インチスコープは「どのようにハンター/シューターの選択肢になり得るのか」というテーマに対し結論から申し上げると
●お手頃な販売価格
●装備品としての軽さ
●1インチ径スコープとしての先入観を上回る品質
というところでしょうか。
倍率帯ということから見ても、近距離も重要、でも中距離も捨てがたい欲張りなハンターの欲求を満たすオールラウンドな1本であると言えます。
軽量であるという要素
1インチ径のスコープの強みは、なんと言っても軽量であるということです。
30mm径の低倍率ショートスコープ(例:Vixen 1-8×25 ED)も600グラム後半と比較的軽いのですが、1インチVixen 4-16×44 BDC 8はそれより大幅に軽い400グラム強の重量しかありません。
猟銃をかついで山に入る際の肩や首への負担を心配するハンターの方々にとって、軽量であるという点は魅力的な要素になります。
3 妥協なき使い勝手
サイドフォーカス付き
Vixen 4-16×44 にはサイドフォーカスが付いています。
これはRSに搭載されている機能のひとつですが、簡単に言うとピント合わせです。
一般的に、倍率10倍以下のRS(低倍率スコープ)にはサイドフォーカスが搭載されていません。
用途的に不要だからです。
ビクセンの1インチRSではほかにVixen 2-8×32、Vixen 3-12×40 というスコープが展開されていますが、Vixen 4-16×44 のみにサイドフォーカスが搭載されています。
1インチ径の他の2モデルはサイドフォーカス機能のない100メートル固定パララックス(※)ですが、Vixen 4-16×44はサイドフォーカスがあることで異なる距離に位置する獲物にフォーカス(ピント)を合わせることが出来ます。
レンジファインダーなどで距離さえ分かれば、ダイヤルを該当する数字(距離はメートル表示)に合わせるだけで、射手の任意でピント調整が出来ます。
※基本的に幅広い距離で標的は見えますが、100メートルを基本としてパララックス(ピント合わせ)を固定しているということ。
約20年のロングセラーモデル
4倍比の1インチ径スコープ、Vixen 4-16x44。
このスコープは市場投入されてから20年弱が経過していますが、今もなお続くロングセラー商品であることが人気を証明しています。
市場投入の初期はドイツ向けに用意されたDuplex、G4、ミルドットといったレチクル展開でした。
しかしながら、近年、ビクセンにて実施された既存製品のレチクル見直しにあわせ、BDC8が採用されたことにより、このスコープは当時のそれとは全く別の製品に仕上がっています。
イルミ機能無し
Vixen 4-16×44など、ビクセンの1インチ径RSにはイルミネーション(レチクル照明)機能がありません。
それは1インチ径というサイズコンセプトを維持するため、というのが主な理由です。
一方でビクセンの30mm径RSはすべてイルミ付きで展開しているのですが、例えばドイツの狩猟市場ではRSにイルミネーションは必須とされていることがその理由の1つです。
そのニーズの高さは、照明機能が付いていないRSを探す方が難しいほどです。
ドイツの天気は曇りの日が多く、さらに森に踏み込み明るさが乏しい環境のもとで、スコープレチクルの中心に獲物を捉えなければなりません。
こういった状況が想定される以上、レチクルに照明機能が付いていることは大変有効であると考えられているからです。
ただこの点はもちろん意見が分かれるところでもあり、実際には「不要だ」という方もいらっしゃいます。
BDC8レチクル
BDCというワードを、日本語に意訳してみると、弾(Bullet)の弾道落下(Drop)の補正(Compensation)ということになります。
空気銃(エアライフル)にRSを取り付ける場合、装薬銃のそれとは異なり、スプリング式、またはプリチャージ式の型式によっては、30メートルや50メートルなどの短い射撃距離でもペレットの着弾点を大きく補正する必要が出てきます。
1インチ径でありながら、ハンターがフィールドで最大の恩恵を受けることができるレチクルを搭載したライフルスコープ。
それがVixen 4-16×44 BDC8です。
このBDC8というレチクルは、単に格好のいいデザインであるというだけではなく、そのデザインにはもちろん理由と意味が存在します。
知っていると大変便利ですので、このテーマは回を改めて別の機会に深掘りしてみます。
4 30mm、34mm径も視野に入れた選択肢
ドイツ製高品質マウント「デントラー」
せっかくRSを使うのならば、所持許可を受けた銃器との組合せで汎用性の高いマウントを選択してみるのもいかがでしょうか。
ここで言う汎用性というのは、「1本のVixen 4-16×44を、装薬銃とエアライフル(空気銃)の両方で使い回したい」という潜在ニーズに応えるもの。
加えて、将来的に30mm径、34mm径のRSへアップグレードを想定して、マウントは高品質かつ光学機器の組合せに柔軟性があるものを求めている場合には、デントラーマウントがおすすめです。
けもの道2023秋号のデントラー紹介記事
デントラーマウントというドイツ製のスコープマウントは『けもの道2023秋号』でも「着脱可能なスコープマウント」として誌面でテストレポートを掲載いただきました。
スコープの付替えをワンタッチで自由に行うことができ、着脱によってゼロインが変わらない工作精度を誇るという優れたマウントシステムなのです。
気になる方はどうぞAEGハンターズショップ様へご相談ください。
5 もっと遠くを目指すなら
タクティカルマウント「エラタック」
先の記述で空気銃を使用する際の落下する弾(ペレット)の弾道の補正について触れました。
ご使用のスコープのエレベーションでは調整幅が足りないという方は、同じく私のところで取り扱っている、エラタック傾斜マウントで物理的に最大70MOA分の傾斜を稼ぐことができます。
エラタック傾斜マウントは、10MOAステップで7段階の傾斜調整が可能(最大70MOA)なマウントです。
もちろんゼロMOA(傾斜の無い状態)に戻して運用することも出来る能力を備えています。
高い剛性、工作精度を誇る超遠距離射撃用のタクティカルマウントです。
日本で1km超の射撃をすることは無いと思いますが、100m前後以遠から大きく着弾点がドロップするエアライフル射撃において弾道補正をするには大変有効なマウントです。
こちらも気になる方はご相談ください(写真のVixen 4-16×44には1インチ径へのサイズダウンアダプターを用いて30mm径マウントに取り付けています。)
ERATAC Ajustable Scope Mount エラタック アジャスタブル傾斜マウント (リング一体型スコープマウント ピカティニーレール対応 クイックリリースタイプ)
まとめ
今回は1インチ径のオールラウンドスコープ、ビクセン 4-16×44 BDC8 にスポットを当ててみました。
ここでは書ききれない特長に溢れたVixenの1インチ径ライフルスコープ。
ぜひお試しください。
Vixen 4-16×44 ライフルスコープ商品ページはコチラ
6 京北エアライフルスクールで実機展示
百聞は一見にしかずということで、来る令和6年6月29日(土)、場所は京都にあります京北綜合射撃場で開催される、京北綜合射撃場様、ヒーローズインク様、AEGハンターズショップ様による3社共同主催、京北エアライフルスクールにおきまして、Vixenライフルスコープ各モデルの実機展示を予定しております。
ぜひご参加、ご来場いただき、ハンズオンにてお試しください。
次回第3回ブログは6月中旬ごろ。
ロングレンジ向けのRSのご紹介を予定していますのでお楽しみに。
7 ビクセン 4-16x44 仕様表
【VEMA:プロフィール】
ドイツと狩猟とおいしい話という狩猟用光学機器に関する情報発信Websiteを運営しています。
DoRaSight(ドラサイト)、ドイツ製のデントラーマウント、およびエラタックマウントの日本販売総代理店です。
ドイツの狩猟見本市、狩猟事情にまつわるブログも不定期に書いています。よろしくお願い申し上げます。