どうもこんにちわ。
AEGハンターズショップの番頭です。
「あれ? 狩猟用の弾は、射撃に使えるんだっけ?」
「ん? 有害駆除の弾って、狩猟で使っていいんだっけ?」
猟銃を所持して間もないころは、誰しもこんな悩みがあると思います。
かく言う私もその一人でしたし、今もときどき周りでそんな疑問の声を聞きます。
そこで、今回、その辺の認識を整理してみました。
1 譲受の目的
3種類の譲受目的
話の前提として、装弾の譲受の目的は、銃の所持用途に倣い
●標的射撃
●狩猟
●有害鳥獣駆除
の3種類ある、ということは所持者の方ならご存知でしょう。
例えば、標的射撃用の弾をクレー射撃で使う、狩猟用の弾を狩猟で使う、という譲受目的どおりの使用であれば悩むことはありませんが、「狩猟用の弾は射撃でも使ってええんやで」「狩猟用の弾は有害駆除でも使ってええんやで」とか周りから聞いたこともあるかと思います。
「はず」では不安
「あ、そうなんや」で済めばいいんですけど、「使っていいはずやで」とかあいまいな感じで言われると、すべて自己責任に帰着する銃砲界隈の住人としては、ちょっと不安ですよね。
そこでもう少し根拠となるものを探してみました。
2 「転用消費」の記載箇所
警察庁通達
装弾の使い道について明文化されたものを探すと、
●令和元年12月2日発出通達 警察庁丁保発第166号
https://www.npa.go.jp/laws/notification/seian/hoan/hoan20191202.pdf
という通達の中に、こんな記述があります。
6 転用消費
火取法第17条第1項第3号の規定により無許可で譲り受けた猟銃用火薬類等や、狩猟又は有害鳥獣駆除(指定管理鳥獣捕獲等事業を含む。以下同じ。)の目的で許可を受けて譲り受けた猟銃用火薬類等については、狩猟及び有害鳥獣駆除の用途に加え、射撃場における練習射撃(狩猟及び有害鳥獣駆除の練習の一環として行われる射撃大会を含む。)に使用することは差し支えない。
また、技能講習及び狩猟前練習に使用する猟銃用火薬類等について、猟銃所持者が現に猟銃用火薬類等を保有している場合には、当該猟銃用火薬類等の譲受目的にかかわらず、これを使用することができる。
この通達は、警察庁生活安全局保安課長から各都道府県警察本部長あてに発出されているので、全国どこでもこの通達に基づいた運用を行う、ということになります。
転用消費の理解
「転用消費」の箇所はちょっと分かりにくいのですが、前半(オレンジ部分)を分解すると、
●無許可で譲り受けた猟銃用火薬類等
●狩猟又は有害鳥獣駆除(指定管理鳥獣捕獲等事業を含む)の目的で許可を受けて譲り受けた猟銃用火薬類等
この2種類については、
●狩猟及び有害鳥獣駆除の用途
●射撃場における練習射撃(狩猟及び有害鳥獣駆除の練習の一環として行われる射撃大会を含む)
に使用することは
●差し支えない
と書いてあります。
狩猟や有害駆除の開始前には射撃場での練習が努力義務になっていたり、所轄警察署の担当窓口からも奨励されているので、狩猟や有害駆除用の弾は射撃に使っていいんだ~ということは、みなさん何となく耳にしたことはあるかと思います。
狩猟、有害駆除の弾はそれぞれ混ぜて使っていいのか?というところが悩みどころかと思うのですが、上の分解文の赤字がその答えになっていまして、単純に言うと、
●狩猟又は有害駆除の目的の弾(狩猟 or 有害駆除)
は
●狩猟及び有害駆除(狩猟 and 有害駆除)
●練習射撃
で使えるとなりまして、結論としては、狩猟又は有害駆除の弾は、何にでも使える? ということになります。
え? 何にでも使って本当にいいの? と疑り深い私は、念のため担当部局に聞いてみました。
3 担当部局の回答
大阪府警と警察庁の回答
ウチは大阪に店を構え、私は大阪在住の所持者ですので、大阪府警本部保安課に電話で疑問点と、先ほどの通達の記述内容を伝え、「実際のところ、狩猟と有害駆除の弾は、何にでも使っていいの?」と尋ねました。
本部の担当官の方は、念のため警察庁まで確認を取っていただいたようで、回答としては先ほどの通達の理解どおり
●狩猟、有害鳥獣駆除目的の弾は、狩猟、有害鳥獣駆除、標的射撃、のいずれに使ってもOK
●標的射撃目的の弾は、標的射撃にのみ使える
というものでした。
細かくも融通の利く装弾消費
細かいようで、実は意外と融通が利く装弾の消費ルール。
ただし、帳簿の記載はもちろんですが、譲受や消費の上限数など、このほかの諸ルールも遵守しつつ、狩猟や有害駆除、標的射撃などに勤しみましょう。
当店では弾帯など装弾の携行に役立つアイテムも取りそろえていますので、ついでに見て行っていただけると嬉しいです。
●弾帯・弾差し
https://aeg-hunters.shop/?mode=cate&cbid=2413694&csid=15&sort=n
●装弾ケース・バッグ
https://aeg-hunters.shop/?mode=cate&cbid=2413694&csid=10&sort=n
銃猟歴11年、知識先行型の現役ハンターで、紀州系猪犬でヨメ様(スタッフの一人)と2銃1狗で狩猟中。狩猟、射撃、アウトドア用品の発掘・販売がライフワーク。公務員経験が影響し、狩猟を取り巻く各種法令に関心強め。狩猟誌『けもの道』(三才ブックス)の立上人であり、現在は制作協力という名のもと監修、取材、ライターなど、よろず屋として何でもこなす。射撃場や猟場で見かけたらお気軽にお声がけください。